東京の液状化予測図 平成24年度改訂版

はじめに

液状化予測図の考え方


図-1 液状化予測図(全域)

◆この液状化予測について◆

この液状化予測図は、一般の方々は調べることが難しい地盤の液状化について、液状化のしやすさ、しにくさを相対的に表すことを目的としています。そのため、特定の震源をもった地震を想定せずに、一律の“ゆれ”によって都内の地盤がゆすられたときに、どの地域が液状化しやすいかを評価しています。

ゆれの強さとしては、1923年(大正12年)の関東大地震で東京の都心が襲われた程度のゆれを想定しています。関東大地震は有史以来、東京で発生した地震災害としては最大級のものであり、液状化も多くの場所で発生したことがわかっています。

地震のゆれは、よく知られているように地盤によってゆれ方が違ってきます。一律のゆれで地盤をゆすられた場合でも、地盤によって地域ごとにゆれの強さは変わりますが、想定されたゆれの強さは全体として震度6弱に相当しています。

いままでの災害の歴史から、液状化によって直接、人命が失われることはきわめてまれです。一方、ライフライン施設とよばれる水道や下水道、ガス、電気などは、液状化による被害をうけやすいことがわかっています。また、2011年(平成23年)の東北地方太平洋沖地震では、液状化によって木造住宅が沈下や傾斜してしまうという被害が多く発生しました。このような意味から、一般的には液状化による災害は財産に対するものや地震後の生活の不便さといったものと考えることができます。

1995年(平成7年)の兵庫県南部地震以降、構造物の耐震性は2段階のゆれの強さで評価されるようになっています。すなわち、構造物に有害な変状が生じないゆれの強さ(レベル1相当)と、構造物が損傷しても崩壊に至らないゆれの強さ(レベル2相当)です。この液状化予測図で想定しているゆれの強さはレベル1とレベル2のあいだにあります。これは、きわめてまれに起こるレベル2相当の強いゆれで都内の液状化を想定すると、あまり強くないゆれで液状化しやすい地域が予測図では可能性が高い領域にうずもれてしまい、判断しにくくなるためです。このため、二次的に人命に影響する可能性がある構造物については、この予測よりも強いゆれで液状化の可能性を考える必要があります。実際、重要な橋梁や堤防の設計では、液状化はレベル2のゆれの強さで評価するようになってきています。

図-2 液状化予測図(低地)

◆液状化予測図作成の流れ◆

液状化は

・地下水位よりも深いところにある

・ゆるく堆積している砂が

・強くゆすられたときに

発生します。そのため、この予測図では図-4のフローにしたがって液状化の可能性を予測しました。

液状化予測に利用できる情報はボーリングデータと地形・地質図、過去の地震で実際に液状化が発生したという液状化履歴の情報があることから、これらの情報を集めました。このうち、ボーリングデータについては、追加をふくめて約2万本を液状化の計算ができるようにデジタル化しました。

予測条件の設定では、1923年(大正12年)関東大地震での地震記録をもとにゆれの強さを見直しました。また、地下水位と沖積層の厚さについても、港湾地域と台地・丘陵地をふくめた液状化の検討地域全域について作成しています。

液状化の計算では想定した地震のゆれと地下水位をもとに、ボーリングデータからその地点での液状化の程度を計算しました。計算結果を地図上にプロットしたのち、「液状化の可能性が高い地域」と「液状化の可能性がある地域」、「液状化の可能性が低い地域」を線で分けますが、そのときに過去の液状化について調べた液状化履歴図と、液状化しやすい地形がよみとれる微地形分類図の情報を組み合わせています。東京湾沿岸の埋立地については、埋め立てた土の性質や埋立工事の区画がわかっていますので、この図も利用しました。

図-4 液状化予測図作成の流れ

図-5は、この情報の組合せの例です。葛飾区の青砥から奥戸の周辺では、ボーリングデータの計算結果から液状化の発生が大であると判定されるとともに、関東大地震の際に「激しい液状化」が発生していたという情報が得られていることから、この場所を含めて「液状化の可能性が高い地域」と判断しました。この地域は土地条件図から読みとられる地形は三角州や自然堤防であり、特に液状化しやすい昔の河川跡や、液状化がほとんど発生しない台地・丘陵地ではないことから、地形による判断は加えていません。

図-5 情報の組合せ例

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